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「薬師寺涼子の怪奇事件簿-夜光曲」 田中芳樹

気まぐれに更新するBookReviewは「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズ最新刊です。「薬師寺涼子の怪奇事件簿-夜光曲」 田中芳樹_b0012247_16281465.jpg


警視庁創立以来の問題児「ドラよけお涼」こと薬師寺涼子が、怪物・怪人・妖怪達を相手に大立ち回りする痛快活劇です(間違ってもサスペンスではないw)

このシリーズの何が良いといって、ヒロインの薬師寺涼子につきます!
強い女性のヒロインというのは、男性が弱くなった現在たくさん生まれてきていますが、そういったヒロイン達の中でも屈指のツワモノであります。

27歳の若さで警視庁参事官というエリートで世界的な警備会社の社長令嬢、自身もその会社の大株主で大金持ち。
そこいらのスーパーモデルが裸足で逃げ出す脚線美とスタイル、そして美の女神を具現化したようなその美貌!容姿端麗、頭脳明晰、勇猛果敢、傲岸不遜、世界征服、立てば絢爛、座れば豪華、歩く姿は花吹雪!!

・・・・ただし、美しい薔薇にはトゲがあるように、美の化身たる彼女のココロは大魔王だったりします。冒頭の「ドラよけお涼」とは「ドラキュラもよけて通る」という意味(どこぞの美少女魔法使いみたいですがw)、海千山千のキャリアや高級官僚、政治家や大企業のオーナーも彼女の前で醜態を晒し、弱みを握られていきますw
かくて、強者はますます強くなり、薬師寺涼子が日本を征服する日が序々に近くなってゆくw
そんな彼女が関わる事件は、何故か常識の範疇を超えた怪物や魔法などが跳梁跋扈する難事件ばかり、しかし「ドラよけお涼」は、どんな事件も持ち前のバイタリティと精神力で真っ向から勝負を挑み、膝下にひれ伏させていきます。
もう、最上級の女王様としか言いようがありません、ジャイアニズムを地で行く人です。
そして、読者の代理人、この物語の主人公は33歳のしがないノンキャリアである泉田準一郎警部補です、容姿も能力も中の上といった彼ですが、何故か涼子に気に入られ、彼女を煙たがる警視庁の上層部から「彼女のお付」として、彼女の元に配属されます。
なぁなぁではなく、主張するべき時にはしっかり主張しながら、あるときは涼子に付き従い、またあるときは涼子をなだめつつ、非常識な難事件に立ち向かっていきます。
そして、泉田クンは気がついていませんが、涼子は彼を自分にふさわしいヒーローに仕立てて愛でている様子w ( なにせ黙っていれば絶世の美女ですから、泉田クンもまんざらではないと思うときもあるようです。基本的には勘弁してもらいたいようですがw)

そんな、魅力的なコンビを中心として、同じ参事官で和風美人の室町由紀子やキャリアでありながら重度なオタクの岸本警部補、涼子を慕う美少女メイドのリュシエーヌとマリアンヌなど魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。

今回は東京を舞台に巻き起こる怪奇事件の顛末ですが、「某都知事」や「某首相」などを連想させたりする毒もあります、そしてオタクに対する皮肉もたっぷり入っていますので、その辺がユルセナイ人は読むと不愉快になるかも・・・
しかし、そこさえ気にならなければ、気分爽快間違いなしの一遍に仕上がっています。




この作品は「銀河英雄伝説」「創竜伝」などで有名な田中芳樹さんが著者。
これはシリーズで言えば6作目にあたるのですが・・・これ以前のシリーズってノベルスサイズだけでも3社からバラバラに出ていて、さらには文庫としても3社から出ているという、裏の事情をかんぐりたくなるようなシリーズ物なのですw

・魔天楼―薬師寺涼子の怪奇事件簿 講談社 (1996-10) ・・・記念すべき一作目は文庫本でした
・東京ナイトメア―薬師寺涼子の怪奇事件簿 講談社ノベルス (1998-10) ・・・二作目はノベルスで出ました
・巴里・妖都変―薬師寺涼子の怪奇事件簿 光文社 (2000-01) ・・・シリーズ三作目は光文社のノベルス
・クレオパトラの葬送―薬師寺涼子の怪奇事件簿 講談社 (2001-12) ・・・四作目は再び講談社のノベルス
・黒蜘蛛島 ―薬師寺涼子の怪奇事件簿 光文社 (2003-11) ・・・五作はまたまた光文社ノベルス

そして今回の第六作は「祥伝社」のノベルス、渡り歩いておりますw
遅筆で有名な著者のことですから、その辺いろいろあるのかも知れませんが、全編通じてツーカイさは変わっていません、「ドラよけお涼」は常にそのウツクシイお姿で、怪奇事件をバッタバッタと解決しています。
出ている出版社がばらばらで、揃えたときに美しくないのがちょっと残念w
文庫はどうやら講談社が一括で出すようなので、「ノベルスはちょっと」という方は文庫本からどうぞ、下記の3冊が講談社から文庫で出ています。
読みきりですから、どれから読んでもそれなりに楽しめますので、目に付いたらぜひぜひ読んでみてください。

魔天楼―薬師寺涼子の怪奇事件簿 講談社
東京ナイトメア―薬師寺涼子の怪奇事件簿
巴里・妖都変―薬師寺涼子の怪奇事件簿
by tlunar | 2005-03-09 16:52 | BookReview